過ごし方

たけの「焼杉板」の町並みについて

焼き杉板の町並みと景観

 

たけの「焼杉板の町並み」

Photo|bozzo

 

竹野地域の焼杉板の町並みと歴史

日本海が目の前に広がる兵庫県豊岡市竹野町の沿岸地域である「竹野浜地域」では、「焼いた杉板」を「家屋の外壁」に張り巡らせた黒い外観の家屋が多数点在しています。この焼いた外壁を「焼杉板」といい、伝統的な技法で焼いた杉板を用いた外壁家屋の町並みを観る事ができます。

「焼杉板」とは杉板を焼くことにより、杉板が炭化し、砂や潮風から家屋を守る役割があります。また、杉板を炭化させることで防雨、防カビにもなり、比較的柔らかいとされる杉材に火を入れる事で硬化し、強度も増すとされています。

日本海沿岸地域では多数観られ、この地域でも100年以上も前から木材を焼いた技法で家屋の外壁を建材として用いる文化があったと言われています。江戸時代中期(18世紀中ごろ)〜明治30年代頃までは大阪と北海道を日本海回りで商品を売り買いしながら結んでいた商船かつての「北前船」の寄港地として竹野浜地域は栄えたとされ、北前船の船主が暮らしていた庄屋敷が今も残っています。その庄屋敷は「焼き板」の外壁を用いた屋敷のひとつであり、実際に建材として杉板が用いられた時期は1970年代頃とされ、7~8月の夏期シーズンは「海水浴場」、11月~3月末までの冬期は「カニスキ」の町として多くの観光客が訪れるようになり、家屋や民宿の改修や建て替えの際に、焼き板の家屋が増えたとされています。

 

 

2023年度第19回 住まいのまちなみコンクール受賞

竹野浜自治会区において、NPO法人たけのかぞくが、2023年度第19回 住まいのまちなみコンクールの「住まいのまちなみ賞」を受賞しました。

→(住まいのまちなみ賞とは?)
※一般財団法人住宅生産振興財団が毎年行う「住まいのまちなみコンクール」の受賞者に送られる賞です。同コンクールは居住者を含め、地域の方々の維持管理の努力によって良好なまちなみが形成されている地区・団体を支援することを目的に行われています。たけのかぞくは2023年度に応募し、受賞しました

審査の評価ポイント(全文)

北前船の寄港地として栄えたまちに、住宅の外壁に焼杉板を使ったユニークなまちなみが近現代に形作られてきた。移住してきた若い人たちが地元の人と一緒になり、焼杉板という建築材料を梃子にし、まちおこしイベントや移住促進の活動を進めている。

                                                    

焼杉板景観保全に向けた取組み

竹野浜自治会区では、地域の伝統的景観である焼杉板の景観を守る取組みが官民で一緒に行われています。

 

市の取組み

豊岡市では、該当エリアを景観保全エリアとし、家屋(小屋などは除く)への焼杉板の設置に要する費用の一部を補助しています。

補助率または補助金等の額

対象経費の3分の1以内(1,000円未満切り捨て)。
ただし、200,000円を上限とし、20,000円を下限とします。

対象者

豊岡市竹野町竹野(小字庵蛇、三杉、見蔵岡、入谷、今後東谷、大間、大間殿岳および青井を除く。)または豊岡市竹野町草飼(小字大木野および釜藤であって、西日本旅客鉄道株式会社が使用する線路の東側に限る。)に家屋を所有している者または借用している者。
(詳しくは下記のリンク豊岡市HPを参照にしてください)

                                                        

 

NPO法人たけのかぞくの取り組み

「NPO法人たけのかぞく」では、焼杉板を作るイベント「あつまれ~!ヤキータ」の開催や、移住希望者への空き家紹介活動を通して、焼杉板のまちなみ保全に取り組んでいます。

今後は、地域との連携をさらに強め、焼き板の作り手・まちなみの語り部育成、焼杉板利用促進に向けた流通の仕組み作りに注力していくとのことです。

                                                         

イベント【あつまれ~!ヤキータ!】

【あつまれ~!ヤキータ!】~大工さんと焼いて張る~

♦日時2024年3月17日(日)9:00~14:00(8:45集合)

♦集合場所
竹野子ども体験村(兵庫県豊岡市竹町竹野3366)

♦参加費一般1,500円 小学生~高校生1,000円
(保険代、指導料等、温泉入浴料を含む)

♦タイムテーブル
8:45 体験村に集合・受付(駐車場あります)

9:00 『住まいのまちなみ賞』受賞記念トーク
まちなみ保存の始まりから受賞に至った経緯を明石高専の工藤教授や大工さんたちと語らいます。焼板文化の今後についてもシェアします。

9:45 竹野のまちなみ散策
ブラタケノ運営委員会が竹野のまちなみ、焼板のようすを歴史を交えながらご案内します。

10:30 炎の焼板づくり
(今回は約120本のスギ板を焼きます)
まずは大工さんの実演を見て、注意事項をよく聞いてから実際にみんなで焼いてみます。

11:30 昼食休憩(お弁当は各自ご持参ください)

12:30 焼きたての焼板張り(ヘルメット着用)
足場での作業となりますが、一番下の基礎部分が主となります。

14:00 解散(北前館の温泉へどうぞ!)

♦服装
基本は長袖長ズボン。汚れても、燃えても惜しくない服装でお願いします。焼板づくりでは、火の粉や灰が飛ぶ可能性があるので、頭には帽子やタオル、手には軍手、足もとは長靴があるとよいです。

♦参加申込フォーム(申込締切3/15まで)
https://00m.in/KNxna参加表明、よろしくお願いします!

                                                          

 

—以下、ぜひご一読をお願いします。—
豊岡市竹野町は、兵庫県の最北端の小さなまちです。関西随一の海水浴場として有名な竹野浜のすぐそばに、焼板のまちなみが広がります。曲がりくねった細い路地の左右に、焼板の家々がギュっと隣り合っていて、散策のつもりがまるで迷路。板の焼き具合やススの落ち具合を見比べながら歩いていると…気づけばあなたも「ヤキータ(焼板文化を愛する人々)」になっているかも?

→「焼板(やきいた)」とは?
スギ板の表面を焼き、家の外壁に貼って使います。表面に炭化層をつくり、板の耐久性をアップさせる伝統技法で、まさに先人の知恵。外壁の劣化を遅らせることで家を守ることができ、気候の厳しい竹野には最適なのです。竹野浜地域はこの焼板のまちなみが今でも残る貴重な場所です。→なぜ手焼きにこだわるの?
現在竹野には焼板を焼くことができる職人が少なく、全国的にも手焼きの焼杉板は入手困難な状況です。しかし、手焼きは工場で生産される既製品とは違って耐久性が高く、見直しの機運が高まっています。

→ヤキータ!?
ここ数年、竹野の焼板のまちなみに関して、外部の専門家や学生さんから、全国的にも希少で価値の高いものとして研究対象としてもらったり、全国のフットパス愛好家の方々に遥々まち歩きをしに訪れてもらったり、何かと注目される機会が増え、地域もそれを誇りに思うようになりました。その一方で、まちなみの中に空き家が1軒、また1軒と増え、竹野浜の空き家は今では150軒にも上ります。せっかくの美しいまちなみも、最後に建物だけが残ってしまうと寂しいことになります。このまちなみが好きで移住する人も出てきて、なんとかこれを「生きた」かたちで次世代に伝えていきたい、そんな想いを持ってこのイベントを企画しています。この度、地域内外関係なく、この竹野の焼板文化をこよなく愛する人々に「ヤキータ」の愛称を捧げることにしました。恥ずかしがらずに名乗っていただいて結構です。また、今回初めて竹野にいらっしゃる方も、愛が芽生えたその瞬間、「ヤキータ」となります。

→住まいのまちなみ賞とは?
一般財団法人住宅生産振興財団が毎年行う「住まいのまちなみコンクール」の受賞者に送られる賞です。同コンクールは居住者を含め、地域の方々の維持管理の努力によって良好なまちなみが形成されている地区・団体を支援することを目的に行われています。たけのかぞくは2023年度に応募し、受賞しました。

 

 

 

動画リンク「あつまれ~!ヤキータ!」/KIACコミュニティプログラム2023:波田野州平「海やまのあいだ」リサーチ記録

「あつまれ~!ヤキータ!」/KIACコミュニティプログラム2023:波田野州平「海やまのあいだ」リサーチ記録 – YouTube

撮影・編集|波田野州平 録音|小林琢也 助手|山口真弓 題字|大部行堂 製作:城崎国際アートセンター(豊岡市) 助成:令和5年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業 Kinosaki International Arts Center @kinosakiinternationalartsc5561‧チャンネルより
波田野州平 http://shuheihatano.com
城崎国際アートセンター http://kiac.jp
NPO法人たけのかぞく https://takenodekuraso.com/

Kinosaki International Arts Center

 


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